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断熱材ってなにが違うの?プロが教える素材の選び方
公開日:2025.08.14
◇ 断熱材ってなにが違うの?プロが教える素材の選び方 ◇

北海道での住まいづくりを考える上で、断熱材の選び方は非常に重要です。
断熱材は、快適な室内環境を保ち、光熱費を抑えるために欠かせない建材です。
しかし、いざ選ぼうとすると、様々な種類があって何が違うのか分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、代表的な断熱材の特徴を、性能、施工性、コストの観点から分かりやすく解説します。
目次
1. 1. 代表的な断熱材の種類と特徴について
断熱材は大きく分けて繊維系と発泡プラスチック系の2種類があります。
それぞれに独自の特性があり、適した用途も異なります。
繊維系断熱材
・グラスウール
ガラスを高温で溶かし、繊維状にしたもので、最も広く普及している断熱材です。安価で不燃性、吸音性に優れています。
一方で、湿気に弱く、水に濡れると断熱性能が著しく低下するため、防湿対策が必須です。
・ロックウール
玄武岩などの鉱物を主原料とする断熱材です。グラスウールと同様に繊維系ですが、耐熱性が高く、防火性能に優れています。
湿気にも比較的強く、グラスウールよりも高価です。
・セルロースファイバー
新聞紙などの古紙を主原料とした断熱材で、環境に優しいエコな素材として注目されています。
高い断熱性だけでなく、調湿性、防音性、防火性にも優れています。密度が高いため、施工には専用の機械が必要で、
コストはグラスウールより高めです。
発泡プラスチック系断熱材
・押出法ポリスチレンフォーム(XPS)
ポリスチレン樹脂を発泡させて作られるボード状の断熱材です。「スタイロフォーム」などの商品名で知られています。
非常に高い断熱性能と、水に強く経年劣化しにくいという特徴があります。基礎断熱など、湿気の多い場所に適しています。
・ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
押出法と同じくポリスチレン樹脂を原料としますが、こちらはビーズ状の原料を発泡させて成形します。
「発泡スチロール」としても知られており、軽く、加工しやすいのが特徴です。
押出法に比べて断熱性能はやや劣りますが、コストは安価です。
・硬質ウレタンフォーム
ポリウレタン樹脂を発泡させて作られる断熱材で、現場で吹き付ける「ウレタンフォーム」と
ボード状の「硬質ウレタンフォームボード」があります。
断熱性能が非常に高く、自己接着性があるため、隙間なく施工しやすいのが大きなメリットです。
価格は高めですが、高性能な断熱を求める場合に適しています。
建築舎では、こちらの硬質ウレタンフォームボードであり、施工性や性能の高いSW(スーパーウォール)を採用しています。
2. 2. 性能だけじゃない!?施工性・コスト面の違いを紹介!
断熱材選びで重要なのは、断熱性能だけではありません。
施工のしやすさやコストも、総合的な住宅の品質と予算に大きく影響します。
施工性の違い
・グラスウール・ロックウール
ロール状やボード状になっており、大工さんがカッターで切って壁や床に充填する「充填断熱」が一般的です。
比較的容易に施工できますが、隙間なく均一に充填するには熟練した技術が必要です。
・セルロースファイバー
専用の機械を使って壁の内部に吹き込んでいくため、職人さんの技術に左右されにくく、
隙間なく充填できるのが大きな利点です。ただし、専用の機械が必要なため、施工できる業者が限られる場合があります。
・発泡プラスチック系断熱材
ボード状の断熱材を貼り付ける「外張り断熱」や、壁の内部に充填する「充填断熱」にも使われます。
軽量で加工しやすいため、比較的施工しやすいですが、継ぎ目から熱が逃げないように気密テープなどで丁寧に処理する必要があります。
・硬質ウレタンフォーム
現場でスプレーガンで吹き付ける施工方法が主流です。液体が発泡して硬化するため、複雑な形状の場所でも隙間なく
断熱層を形成できます。気密性の確保がしやすく、高い断熱性能を効率的に実現できます。
コスト面の違い
断熱材のコストは、素材そのものの価格に加えて、施工費も考慮する必要があります。
・安価な断熱材
グラスウールやロックウールは、素材自体が安価で、広く普及しているため、施工費も比較的抑えられます。
コストパフォーマンスを重視する場合に適しています。
・高価な断熱材
硬質ウレタンフォームやセルロースファイバーは、高性能な分、素材の価格が高めです。
また、特殊な施工方法が必要なため、施工費も高くなる傾向があります。
ただし、高い断熱性能による光熱費の削減効果を長期的に見込むと、トータルコストでメリットが出る場合もあります。
3. 3. 北海道で選ばれる断熱材とは?
厳しい寒さの北海道では、住宅の断熱性能は非常に重要です。
そのため、高い断熱性能を持つ硬質ウレタンフォームや高性能グラスウールなどが広く採用されています。
硬質ウレタンフォームは、その高い断熱性能と気密性の高さから、暖かく快適な室内空間を実現するために有効です。
また、現場で吹き付けるため、複雑な形状の箇所でも隙間なく施工でき、熱橋(ヒートブリッジ)の発生を防ぎやすい
というメリットもあります。
※熱橋(ヒートブリッジ)とは、建物の外壁や屋根などの断熱層の一部に、他の部分よりも熱を伝えやすい材料が存在し、
熱の流れが集中してしまう現象のことです。これにより、断熱材の性能が低下、建物全体の断熱効果が損なわれ
結露の問題などを引き起こします。
グラスウールは、近年、密度を高めて断熱性能を向上させた高性能グラスウールが普及しており、
コストと性能のバランスの良さから、北海道でも根強い人気があります。ただし、湿気に弱いという弱点を克服するため、
防湿シートの丁寧な施工が必須です。
また、セルロースファイバーも、その高い断熱性と調湿性から、結露対策が重要な北海道の気候に適している
として注目されています。
断熱材選びは、単に断熱性能を比較するだけでなく、ご自身の住宅の構造や予算、そして何よりも
北海道の気候に適しているかどうかが重要です。
それぞれの断熱材の特性を理解し、プロの意見も参考にしながら、最適な選択をすることが、
快適で経済的な住まいづくりへの第一歩となります。
4. まとめ
札幌市東区を拠点とする建築舎では、お客様一人ひとりのライフスタイルやご要望に合わせた
最適な断熱材のご提案をさせていただきます。お気軽にご相談ください。
