建築舎のコラム

では、ヘルスケアに特化して住宅をリノベーションする場合、どのような点を意識すると良いでしょうか。

1.温熱環境

温熱環境とは、室内の温度や湿度に起因したものであり、快適な温度・湿度が保たれた空間は温熱環境が整っているといえます。室内の温度差や湿度差があると、冬はヒートショック、夏は熱中症など、場合によっては命に関わる危険性もあるのです。室温の変化は血圧の変化にも大きく影響を与えるため、特に高齢の方が住む家においては温熱環境を整えることは重要です。

2.間取り

ヘルスケアを意識した間取りとして最もわかりやすい例が平屋でしょう。若いうちは特に大変と感じることは少ない階段ですが、高齢になると毎日の昇り降りは容易ではありません。そのほかにも、寝室とトイレ・浴室の距離が近いこと・車椅子でも回遊しやすい動線も意識しておくと安心です。

3.早期発見できる仕組み

自立した生活を送るためには、何かあった場合に早期発見できる仕組みも重要な要素。昨今では見守りサービスが充実しており、警備会社や運送会社など各社からセンサータイプやカメラタイプなど様々な設備・プランが提供されています。

このほかにも、リノベーションをする住宅が老朽化している場合は、柱の耐久性や壁内結露など、目に見えない部分で問題が生じている場合も。

上記で挙げた1〜3が改善しても、安全性や空気環境に問題があれば安心とは言えません。特に高齢者の場合、壁内結露によるカビが肺炎を悪化させる危険性もあります。

表面的なリフォーム・リノベーションではなく、壁や屋根を剥がして手を加えるフルスケルトンリノベーションがおすすめです。

室内の温度ムラがなく年中快適。空気もキレイ。動線には無駄がなく、平屋なので目が行き届く。こんな特徴を持つ「ヘルスケア×平屋リノベーション」。おすすめなのは高齢者だけではありません。

たとえば小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、

・段差が少なく安心

・夏も冬も過ごしやすい室温

・Iot家電で忙しいお母様も時短

そんな嬉しいメリットがあります。平屋であることで目も行き届きやすく、家族の気配を感じながら生活ができるのも安心ですね。

また、年代に関係なく足の不自由な方にも平屋リノベーションはおすすめです。

次に、実際に建設された、札幌市北区の見守り型平屋リノベーションの内容についてご紹介していきましょう。前提として、この見守り型平屋リノベーションは、築40年の2階建て戸建住宅をフルスケルトンリノベーション※したものです。

※フルスケルトンリノベーション＝基礎と主要な柱のみを再利用し、壁や屋根は全て剥がして新築同様の性能を施したリノベーションのことを指します。

1.全室温度ムラのない快適空間

温熱環境を整え快適な空間を実現するために用いられたのは「スーパーウォール工法リフォーム」。断熱材内部の35年無結露保障付きの「スーパーウォールリフォームパネル」というパネルを利用し、夏は涼しく冬は暖かい、温度ムラのないおうちを実現しています。第２種換気と「エコブレス」という全館空調システムも取り入れ、床下には敷炭も施し、24時間キレイな空気を保ちます。

2.車いすでも移動しやすい回遊性と間取り

室内を車いすで移動する方も安心なバリアフリー設計&回遊性。寝室から洗面室、トイレは一直線に並び、さらに浴室、キッチンへと回遊できる間取りです。

そのほかにも、玄関には車いす用のリフトを設置、キッチンのシンクや作業台の高さも通常よりやや高く、車いすに座ったまま作業がしやすい仕様に。寝室にはデザイン性と機能性を両立した電動リクライニングベッドも設置しています。

3.センサーによる見守りとIot家電

室内天井に空間センサーを設置し、人体の熱を感知。センサーによる安否確認ができるほか、緊急時にボタンを押すとガードマンが駆けつけるコントローラーもあります。

洗濯機や冷蔵庫は最新のIot家電。スマートフォンのアプリ上で洗濯機を操作できたり、冷蔵庫の食材の在庫を確認できる便利機能も！介助者にとっても安心ですね！

今回は、見守り型平屋リノベーションの特徴や実際の事例についてご紹介しました。株式会社　建築舎では、札幌市北区に見守り型平屋リノベーション住宅を建設し、モデルハウスとして公開しています。実際に平屋リノベーションを検討されている方以外にも、住宅オーナーさんや福祉関係の方もぜひ見学にお越しください。

→札幌市北区拓北「平屋リノベーション」モデルハウス公開中