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地震後の構造点検 ③


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地震後の構造点検 ③

2018.10.12 |

皆様 こんばんは

 

建築舎のリノベ担当です。

 

今日も地震がありましたね。

私くらいの歳になると、震度2~3の地震では自分が揺れているのか、地面が揺れているのかわからないときが多いのであまり恐怖を感じませんが、敏感な方は、震度1でもすぐに気が付くようです。

 

ご自身やご家族が被害にあわれた方などは、つらい思い出がよみがえり、余震のたびに苦しんでおられるのかと思うと何と申上げて良いか言葉もなく、元気に仕事をできる自分たちの幸福を思い知らされます。

 

 

今日は地震後の構造点検の3回目

「構造体の非破壊検査について」お話しします。

 

在来工法(木造軸組構法)の住宅の構造体というのは、住宅を支えている柱や梁などのことを指しています。
構造躯体などとも言います。

 

この躯体は通常、壁や床、天井の裏側に隠れているので、現在どんな状況であるかは目に見えません。

 

そこで、躯体の損傷や劣化度合いを確認するためには壁や天井・床などを剥がさなければなりません。
こういった部分的な解体を伴う検査のことを「破壊検査」と言います。

 

たとえば、リノベーション工事を行う前のインスペクションなどでは下の写真のように

 

 

「どうせ新品に取り換えるんだから、床も壁も剥がしちゃえ‼」

 

と、多少やんちゃなことをしても叱られずに済みます(というより、やらないと検査の意味がありません)が、

 

 

建てて間もない住宅や、現在特に不具合のない住宅を検査する場合、解体して何か問題があれば、

 

「開けてみて良かったね」

 

という事になりますが、問題がなかった場合、

 

「開けてみたら、問題ありませんでした。壁と床をふさぐので、修理費をください」

 

という事になると、お施主様は損をした気分になるのではないでしょうか。

 

たとえそうでなくても、現状で問題のない建物に手をかけることで、例えば気密性能が低下したりしては本末転倒です。

 

そこでこうした場合は床や壁などの解体をせずに検査を行います。

 

これを「非破壊検査」と言います。

(わざわざ説明するまでもなく、字のまんまですね・・・話がくどくてすみません)

 

 

非破壊検査の方法は大きく分けて二通りあります。

 

① 目視による点検

床や壁などの表面に見える症状から内部の状況を推測する方法です。

 

前回の投稿で
「不等沈下の被害による症状」
についてお話ししましたが、項目はほぼ同じです。

 

柱や梁が折れていたり耐震金具が外れていたりすると、当然家は歪みます。

そうなると、

 

1) ドアや窓の開け閉めがしずらくなる。
(建付けが悪くなる)
2) 柱と壁の間に隙間が空く

3) 基礎や壁に深い亀裂が入る
4) 雨漏りするようになる
5) 給排水管が断裂する

 

などの状況が見られた場合は、構造体の損傷の恐れがあります。

1) であれば湿度の変化による木部の膨張収縮が原因かもしれませんので構造の被害とは関係ない場合も多いのですが、特に 2)と 3)の壁の亀裂は要注意です。

地盤沈下によるものにしろ、地震の揺れによるものにしろ、下地か構造に何らかの問題がある場合が多いからです。

 

建付けが悪い場合は部屋の角や建具の枠などにレーザー水平器のレーザーを当てて(垂直方向にも光が出ます)傾きがないかを調べることもできます。

ここで傾きが大きい場合は構造のゆがみによって建具が開きずらくなっていると考えられ、構造の損傷を疑わねばなりませんが、この傾きがなければ建付けの悪さは木材の膨張収縮による可能性が高く、蝶番の調整程度で直ります。

 

② 機器を使った点検
赤外線・X線・磁気などを使って内部の状況を確認する方法です。

① は、文字通り見えるところだけで判断をしますので人件費だけで済むため、費用も数万円ですみます。

② は、高価な精密機械を使いますので費用が10万円を超えます。複数の調査を行うと数十万円という事もあり得ます。

 

 

ですので、非破壊検査をする場合は、

 

まず、目視点検で問題がないかを確認する。
目視点検で疑いががあれば機器を使って検査する。
機器を使った検査で問題が発見されたら、「破壊検査」を行い、そのまま修理・補修工事を行う。

 

という流れをたどった方が費用が少なくて済む場合が多いです。

 

したがって、今回私たち建築舎が実施する構造点検は、非破壊検査の目視点検です。

 

使う道具はレーザー水平器とスケールだけですので、費用は私たちの人件費だけ。

なので、無料で点検を行う事ができるわけです。
(その分会社の利益が減りますが、給料は下がらないことを祈ります)

 

 

ところで肝心の検査結果はというと

 

今までのところ

検査済の全棟で

 

① 地震後に建付けの悪くなった建具はありませんでした。
(地震前から、乾燥によるドアやドア枠の収縮によるものが一件、勝手口の蝶番の部品不良によるものが一件ありましたが、地震が原因ではありません。もちろん調整させていただきました。

 

② レーザー水平器による垂直方向の検査によっても傾きはありません。

 

③ 内外壁にも亀裂は認められませんでした。

 

というわけで、点検済みのお宅では、地震による構造体への影響は認められませんでした。

 

 

築35年~の古い住宅でも、耐震補強や基礎補強、事前のインスペクションなど、やるべきことをちゃんとやっていれば、大きな地震が来ても最低限の安全は確保できるという事です。

あとは順次お客様のご都合を伺いながら、雪が降る前に全棟点検を終えたいと思います。

 

 

お客様方に大きな被害がなかった事には胸をなでおろす想いですが、

 

被災された皆様、現在もご自宅に帰れずにいる皆様が、一日も早く落ち着いた暮らしに戻れますよう陰ながらお祈り申し上げます。

 

 

さて、当社では、お客様のお好みに合わせて

選べるリノベーション住宅を

中心にお家を持ちたいという方の

さまざまなご希望にお応えしています。

 

ご興味がありましたら、

是非ホームページもご覧ください

 

右差し https://kenchikusha.net/

 

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