地震後の構造点検 ④ リノベーションの耐震補強 その1
Blog
地震後の構造点検 ④ リノベーションの耐震補強 その1
2018.10.13 | 住生活お役立ち講座
皆様こんばんは
建築舎のリノベ担当です。
ここしばらく、地震後の構造点検についてお話ししてきましたが、私たちがリノベーションを始めた当初は、ちょうど東日本大震災から3年目くらいだったので、
「こんなに古い家で地震が来ても大丈夫なの?」
「そもそもリノベーションで耐震補強ってできるの?」
「どうやるの?」
などというご質問を受けることがよくありました。
そこで、その点についても少しお話ししようと思います。
今回は[地震で家が倒れてしまう理由について]
地震で家が倒れてしまう理由には大まかに分けて 5つあります。
① 地盤沈下によるもの
② 壁量(耐力壁)の不足によるもの
③ 接合不良、接合金物の強度不足によるもの
④ 構造体の腐食によるもの
⑤ 剛心(強さの中心)と重心(重さの中心)のずれによるもの
(これは私が勝手に分類しているだけなのでもっとあるかもしれません。その場合は教えて頂けると助かります。不勉強で申し訳ありません)
① 地盤によるもの
については、前々回の投稿「地震後の構造点検 ②」でお話ししましたのでそちらをご覧ください。
すごく平たく言うと、地面が急に傾いたら誰だって立っていられません!という事です。
地盤による倒壊を防ぐことは難しいので、対策としては『地盤の悪いところには家を建てない』ことが最も有効です。
リノベーションの場合は既に家が建ってしまっているので、近隣の地盤データや、既存住宅の基礎の状況、傾き具合などを参考に、総合的な判断を行うしかありません。
② 壁量不足によるもの
壁量などといわれても、なんのことやらさっぱりわかりませんね。
小さい家より大きい家のほうが壁の量は多いので、家が大きいほうが地震に強いのかというと、それは全く違うらしいのです。
普通、「壁」とというと
こんなのとか
こんなの
を思い浮かべますが
この場合の「壁」とは「耐力壁」 = 「地震の揺れに耐える壁」 のことを言います。
① こんなのや
② こんなのです
②の構造用パネルはともかく、①の筋違は全く壁には見えません。
どうやら表面上目に見える「壁」ではなく、壁の中にある「地震から住宅を守る構造体」のことを「耐力壁」と言うようです。
日本で昔から行われていた(在来)構法というのは
1) 縦は柱
2) 横は土台や梁
で組み立てられた「軸組構法」がほとんどです。
横に渡してある木材(横架材)は揺れても倒れるという事はありませんが、
縦に立ててある柱などは地面が揺れると簡単に倒れてしまいます。
そこで揺れても簡単に倒れないように支えたり引っ張ったりするために、斜めに柱に打ち付けるのが「筋違(すじかい)」です。
電柱が倒れないようにワイヤーで引っ張ったり
もう一本のコンクリート柱で斜めに支えていたりするのと考え方は近いです。
また、細い棒状のものより、幅の広い面状のもののほうが横揺れに強いことから、柱や梁に面材を打ち付けて揺れを防ごうという考え方が「構造用パネルによる耐震補強」です。
この二つを組み合わせて、もっと強力な耐力壁を作ることもあります。
このような耐力壁の量が足りないと、地震の揺れに耐えられず、家が倒れてしまうということ、
それが壁量不足による倒壊です。
こういった耐力壁による耐震補強は、新築でも同じです。
私たち建築舎が工事するのは、ほとんどが1981年の6月以前に建築された「旧耐震基準物件」ですから、当然こういった耐力壁を増設する耐震補強工事をおすすめしています。
おかげさまで、今回の地震点検でも構造に破損や歪みのできた現場はありませんでした。
ちなみに、本日現在での傾きや変形(構造のゆがみ)の数値は
最小値 0.18㎜/1000㎜
最大値 1.87㎜/1000㎜
平均値 0.91㎜/1000㎜
となっており、
新築基準の 3㎜/1000㎜より小さいため、まずまずの成績です。
ちょっと長くなってしまったので、続きはまた次回
「耐震金物や、木材の腐食などについて」お話しします。
さて、当社では、お客様のお好みに合わせて
選べるリノベーション住宅『R300住宅』を
中心にお家を持ちたいという方の
さまざまなご希望にお応えしています。
ご興味がありましたら、
是非ホームページもご覧ください