地震後の構造点検 ⑦ リノベーションの耐震補強 4
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地震後の構造点検 ⑦ リノベーションの耐震補強 4
2018.10.23 | 住生活お役立ち講座
リノベーションの耐震補強 4
構造体の腐食がおきるワケ
皆様こんばんは。
建築舎のリノベ担当です。
前回は、「地震で家が倒れてしまう理由」の4
「構造体の腐食について」お話ししました。
今日は「構造の腐食がおきるワケ」についてお話ししようと思うのですが・・・
本来なら今回の一連のお話は「地震後の構造点検」についてのものだったはずです。
前回のブログを読んでくれた知人から『「構造の腐食がおきるワケ」というのは、「点検」とはまた違う話なのでは?』と訊かれ、
「なるほど、それもそうか・・・」と自分でも考えました。
ですが、地震による被害と、構造の腐食による被害は、実は外から見ただけではわからないことがあります。
たとえば、両方の理由が重なったことで床が傾いた場合もあります。
今回私たちが行っている全棟検査は「目視による非破壊検査」です。
(非破壊検査については、地震後の構造点検 ③ をご覧ください)
床が傾いているからといって、
① 地盤沈下がおきたのか
② 床を支える構造木材が折れたのか
③ 土台などが腐食してくずれてしまったのか
は、開けてみないと(破壊検査)わかりません。
こういうことを全部わかっていると、非破壊検査はご自身でもある程度は行うことができるので、わざわざ業者さんにお願いして数万円もの費用をかけなくても済むかもしれません。
そして、構造の腐食を防ぐことは、耐震補強にとって、とても大切なことなのです。
なので、一応こういうお話もしておいたほうがご参考になると思いますのでこのまま続きをお話ししようと思います。
構造体の腐食がおきるワケ
① 防水に問題がある場合
雨水や雪解け水など、外部からの水の侵入による腐食です。
1)築年数が浅い場合は外壁のコーキングの割れ(経年劣化)や雨仕舞の施工不良、屋根の施工不良が原因です。
窓回りのコーキングの割れからの雨水の侵入(築12年)
バルコニーの勝手口の雨仕舞の施工不良による雨水の侵入(築6年)
屋根と外壁の取り合いが悪く、雨水が侵入(築7年)
2)築年数が古い場合は経年劣化によるものですので、ほとんどが適切なメンテナンスを行ってこなかった事が原因です。
モルタル壁の塗装や、ひび割れの補修を行わなかったことによる雨水の侵入(築43年)
② 断熱に問題がある場合
1)屋根の断熱が足りない場合、屋根に積もった雪が解け、スガ漏れがおきます。
屋根断熱を行わなかった住宅(築15年)
屋内からの熱で融けた雪解け水が軒先で凍って水をせき止めます。
せき止められて水位が上がり、水がハゼの中に侵入して腐食の原因になります。
2)断熱性能が低いと家の中と外の気温差で結露がおきます。
目に見える窓などの結露は拭き取れば良いのですが、壁や床下、天井裏の結露は目にも見えず、拭き取ることもできません。結露した水が構造体に染み込んで乾かないままだと木材が腐ってしまいます。
壁体内結露が土台に染み込み腐食した事例(築37年)
土台の屋外側が腐食しているのは、外壁の裏で結露した場合の特徴
③ 気密・換気に問題がある場合
気密性能や、構造体の換気が足りないと、構造内に水蒸気が侵入して結露します。
人が住んでいる住宅では必ず水蒸気が発生します。
煮炊きもしますしお風呂に入ってもシャワーを浴びても湯気が出ます。
水蒸気の粒は小さくて木目も通り越してしまいますので、気密性能がひくいと壁や天井の裏にまで侵入し、一番寒いところで結露します(これを内部結露といいます)。
屋根の裏側、外壁の裏側、床下などは、通常断熱材の外側にあるためかなり簡単に結露してしまいます。
柱が屋内側から腐食しているのは内部結露の特徴
④ 配管設備に問題がある場合
水道管などからの水漏れが、柱やほかの構造材に染み込んでしまう場合があります。
築年数の浅い場合は施工不良、古い場合は経年劣化によるものがほとんどです。
構造の腐食がおこる理由はだいたいこれくらいかと思います。(ほかにもあったらすみません。勉強不足です)
適切なメンテナンスを心がけていれば防げるものも多いのですが、中には普段のお手入れだけでは防げないものもあります。
特に、断熱不足と気密性能の低い住宅では、意外とそんなに古くない住宅でも腐食が起こる場合があります。
これを何とか防ぐ方法はないのでしょうか?
というわけで次回は、
「構造の腐食を防ぐ方法」
「リノベーションの劣化防止対策」
についてお話ししたいと思います。
さて、当社では、お客様のお好みに合わせて
選べるリノベーション住宅『R300住宅』を
中心にお家を持ちたいという方の
さまざまなご希望にお応えしています。
ご興味がありましたら、
是非ホームページもご覧ください