ブログ

地震後の構造点検 ⑨ 構造の腐食を防ぐ 「リノベーションの劣化防止対策」その1


Blog

地震後の構造点検 ⑨ 構造の腐食を防ぐ 「リノベーションの劣化防止対策」その1

2018.11.01 |

皆様こんばんは。

建築舎のリノベ担当です。

ご無沙汰してしまいましたが、決して怠けていたわけではないのです。
(Sayakaさん。許してください)

例によって、宿題の量がワタクシの処理能力を超えているだけなのです。
(というとややかっこよく聞こえますが、言い換えると、ワタクシの能力が足りないだけタラー、という事になります。言い換えないで、暖かく見守って下さるとうれしいですアセアセ

構造の腐食が耐震強度を大きく下げてしまうこと、
(詳しくはこちら https://ameblo.jp/kenchikusha/entry-12413476543.html をご覧ください)

また、構造の腐食がおこるわけ
(腐食がおこるわけについてはこちら https://ameblo.jp/kenchikusha/entry-12413811524.html )

についてお話ししてきましたが、

「じゃあ、腐らないようにするにはどうすればいいの?」

という当然の疑問がわきます。

そこで今回からは
「構造体の腐食を防ぐ、劣化防止対策について」
お話ししようと思います。

構造体の腐食は

① 雨水、雪解け水の侵入
② 内部結露
③ 給排水管の水漏れ

が原因でおこります。

原因の全てが水に関係していますね。タラー(汗じゃなく水です)

つまり、水を壁の中、天井裏や屋根裏、床下に入れなければ構造体は腐らないわけです。
(この際、施工不良や手抜き工事は脇に置いておくことにします。)

と、なると話は簡単で

① 屋根、壁、などの防水の徹底
①-2 スガ漏れ
② 内部結露の防止
③ 配管に劣化しづらい材料をつかう

これさえやれば、構造体の腐食の危険はぐっと減ります。
時々点検して、ちゃんとメンテナンスしてあげればかなり安心です。

もちろん簡単なのは話だけで、実行するのは大変です。(というより、むしろすごく難しいです)

というのは、全ての材料は必ず継ぎ合わせる必要があるため、絶対に隙間ができるからです。
その隙間がある以上、水蒸気はおろか、水の侵入さえ堰き止めることができません。
全く継ぎ目のない材料で家全体を覆ってしまえれば別ですが、そんな材料、大きすぎて運べません。

では、どうするかというというお話を、順番にしていきます。

① 防水の徹底

1)屋根の防水

屋根から水が侵入する原因としては、まず、金属板(板金といいます)が錆びて腐食し、穴が開いてしまうなどという場合があります。

これを防ぐためには、5年~10年に一回、屋根を塗り替えて防水することが最も効果的です。

塗装について詳しく書くと、それだけで3回連載くらいになってしまうので、詳しくはいろんな塗装屋さんのホームページを見て頂くとして・・・
(手抜きじゃないです~。ウチの会社はリノベ屋さんなので・・・)

屋根というのは、瓦葺きにしても金属葺きにしても、実にシンプルで合理的な、「水は必ず低いほうに流れる」という原理をもとに防水されています。

北海道は金属葺きが主流ですし、地震に耐えるためには屋根は軽いほうが良いので、金属葺きをモデルに説明させて頂きます。
(毎回、稚拙な図解で申し訳ありません)

見事に、上からの水の流れを中に入れないようにできていますね!
おかげで私たちは雨の日でも高いびきで寝ていられるわけです。
これが飛鳥時代には確立された工法だったわけですから人の知恵って本当にすごいです。

地球に重力がある以上、水が下から上に登って隙間に入り込むはずはないのですが、いくつか例外があります。

A) 軒先に雪庇や氷の塊ができ、ダムのように雪解け水をためてしまう場合。

これは「地震後の構造点検 ⑦」でお話しした通りです。

https://ameblo.jp/kenchikusha/entry-12413811524.html

B) 無落雪屋根の排水口(ドレーン)が詰まってしまった場合

無落雪屋根は外から見ると四角く見えますが、屋根にあがってみると、こんな風になっています。

三角屋根(切妻屋根)の逆で、雨水を内側に落とす造りになっていますね。

そして水は👇このような排水口から流しているわけです。
つまり屋根全体がキッチンのシンクやバスタブのようになっているわけです。

秋も深まると落ち葉が散ります。
風に運ばれた落ち葉が屋根にたまり、雨に流されて排水口に集まります。

これが腐って土のようになり、その他のゴミと一緒に固まったりすると、ちょうど排水口に蓋をするような状況になります。

キッチンやバスタブは継ぎ目のない材料で作られていますが、残念ながら屋根には継ぎ目がいっぱいありますのでえーん、水がたまりすぎると継ぎ目から水漏れを起こしてしまいます。

A)もB)どちらも水がせきとめられて下に流れなくなってしまったことが原因です。

水が溜まって水位が上がると、
なんと!水が下から上へと昇ってゆくではありませんか・・・

 

ダウン

B)の排水口の詰まり
は、建築屋さんにはどうすることもできません。

キッチンの排水口を毎日掃除したり、お風呂の排水口から髪の毛などを取り除いたりするのと一緒で、メンテナンスというよりは「お掃除」の範疇です。

お母さんが毎日キッチンとお風呂の掃除をしている場合、お父さんには命がけで年に2回、雪が降る前と雪が解けた後に屋根に上がっていただき、ゴミを取り除いていただくしかないのです。(役割が逆の場合もありますし、一人二役の場合もあります。我が家ではこうだったというだけです)

A)の雪庇や軒先での凍結

こちらも、まめに屋根の雪下ろしや雪庇をこまめに落とすなどしていれば何とかなったりするのですが、冬の雪下ろしでけがをしたり命を落とす方が増えていますので、できれば冬に屋根には上がりたくありません。

の要は、雪が解けて軒先で凍るから水がせき止められるのであって、

屋根の雪が融けなければそれで良いわけです。

というわけで、私たちがリノベーションを行う場合は室内の熱を屋根に伝えないような工事を心がけています。
(これは長期優良住宅を建てている新築メーカーさんならどこでもやっていることですので、別に建築舎の専売特許ではありません。当たり前のやりかたです)

屋根の雪を解かさないために

① 気密をとって、暖かい空気を屋根裏(小屋裏)に逃がさない。
② 小屋裏の断熱層を厚くして、熱を屋根に伝えない。
③ 小屋裏で換気を行い、わずかながら逃げてきた熱を外に出す。
④ 屋根の裏で断熱し、残ったわずかな熱も屋根に伝えない。

という工事を行います。

このくらい徹底すれば、スガ漏れの危険はかなり小さくなります。

だいぶ長くなってしまってますが、そもそも構造の腐食について話し始めたのは

「本当の意味で耐震補強をしようと思ったら、

単に腐食部分を取替えたり、構造を補強したりするだけではなく、

劣化予防もしなければならない」

というお話がきっかけでした。

(地震後の構造点検 ⑥ https://ameblo.jp/kenchikusha/entry-12413476543.html )

つまり、耐震補強をするためには屋根構造の腐食を防ぐ必要があり、

屋根構造の腐食を防ぐためには屋根のスガ漏れを防ぐ必要があり、

スガ漏れを防ぐためには断熱や気密をしっかりしなければならない

という事でもあるのです。

ごめんなさい。
そろそろほかの宿題もしなければならないので、

「外壁の防水」と「内部結露の防止」についてはまた次回

地震後の構造点検 ⑨ 構造の腐食を防ぐ 「リノベーションの劣化防止対策」その2

でお目にかかりたいと思います。

ある程度進んできた、建築舎の構造点検の結果も次回以降でお伝えしたいと思います。

さて、当社では、お客様のお好みに合わせて

選べるリノベーション住宅『R300住宅』を

中心にお家を持ちたいという方の

さまざまなご希望にお応えしています。

 

ご興味がありましたら、

是非ホームページもご覧ください

右差し https://kenchikusha.net/

 

ページのトップへ戻る