ブログ

長く住む予定のない家をどうするか? 地震後の構造点検 ⑰


Blog

長く住む予定のない家をどうするか? 地震後の構造点検 ⑰

2019.04.12 |

 

 

皆さまお晩でした。

 

建築舎のリノベ担当です。

 

ワタクシ、結構物持ちが良い方で、去年引っ越しするときまで、学生時代に使っていたワンドアの冷蔵庫を使っておりました。

 

ワンドアなどというとかっこよく聞こえますが、チルド室どころか冷凍庫もなく、野菜室もついていない、まさしく貧乏学生が下宿に置くようなタイプです。

(お若い方にはわかりませんね)

 

現在会社の給湯室で使っている炊飯器もそのころの物ですので、多分37年くらい使っています

 

 

 

 

このオムライスのご飯もその炊飯器で炊きました。

 

最近蒸気が漏れるせいか水加減が難しくなってきて、もういい加減買い換えようかと何度も思うのですが、ついつい昔の思い出がよみがえってきて「もう少しだけ、もう少しだけ」と、結局今も使い続けています。

 

長く住む予定のない家に、大金をかけてメンテナンスするべきか?

 

去年の地震の後に、いつもと違ったお問い合わせがありました。

 

それは、私たちがリノベーション工事に入る前に、ご近所へのご挨拶をしていた時でした。

 

「今工事してるあの家はうちと同じくらいに建った家なのだけれど、

更地にしなくても売れるものなの?

いくらくらいで売れたの?」

 

というものでした。

 

個人情報保護の手前あまり詳しいお話は出来ないのですが、大まかな相場の金額などをお伝えすると、

 

「この間の台風で煙突が倒れて屋根が剥がれ、

 

 

 

翌日の地震で基礎にひびが入った

 

 

 

修理する費用は出せないと思う。

 

子供たちは独立し、夫にも先立たれ、家のほとんどの部屋は物置となっている。

掃除は大変だし、雪かきもつらい。

 

お父さんが苦労して建ててくれた家だし、子供たちとの思い出もあるから手放したくはないけれど、もう私一人では維持してゆけそうもない。

 

うちは建ててから50年近くもたっているし、もう家としては売れそうもないけど、更地にするための解体費用は用意できそうにないし・・・

 

こんな古い家でも売れるかしら?」

 

と、お悩みを打ち明けて下さいました。

 

確かにおひとりで4LDKの2階建ては広すぎます。

 

お掃除も大変ですし、広ければ暖房費もかかります。

一部屋だけを暖めるつもりでも、熱はどんどんほかの部屋に奪われてしまいますし、そうなると結露も発生し、家がさらに傷んでゆきます

 

(内部結露と構造体の腐食についてはこちらをご覧ください)

https://ameblo.jp/kenchikusha/entry-12422336158.html

 

お歳を召してくると雪かきや屋根の雪下ろしなどは、大変なだけではなく命の危険すらあります。

 

健康上の不安も出てきますから、いつまでも一人暮らしは心細いでしょうし、いずれはお子様とのご同居や、そうでなくても暖かくて雪かきの心配もいらないマンションへの住み替えなども考えるかもしれません。

 

そんな風に、長くは住まない住宅に、百万円から数百万円ものメンテナンス費用をかけるのはもったいないですね。

 

その分のお金を、次の住まいでの生活が少しでも豊かに始められるように使った方が、ずっと価値があるというものです。

 

そこに今の住まいを売ったお金を加えれば、ずっと楽しく暮らせるようになるに違いありません。

 

ちょっとしたご挨拶のつもりが、そんな話をしているうちに1時間ほどもお邪魔して、お茶までごちそうになってしまいました。

 

 

「築年数が古くても建物付で売れるの?」

 

というご質問は、実は以前からときどきいただいています。

 

なぜ不動産会社ではなく、私たちのような工事会社にお問合せをいただくかというと、そういうお問合せを下さる方のほとんどが、同じようなお悩みを抱えていらっしゃるからです。

 

私たちが築年数の古い家を工事しているのをご覧になって、直すことより家付きで売れるかどうかにご興味をもたれるようなのです。

 

 

今までの不動産取引では、築30年を超えた住宅を売る場合は更地で売ることがほとんどでした。

 

というのも、「住宅の経済耐用年数」というものが、国の法律で決められているからです。(正確に言うと、財務省の省令)

 

それによると、木造住宅の耐用年数は22年という事になっています。

 

ほとんどの方が30年~35年の住宅ローンを組んで、まだ支払いを続けているというのに、22年で価値がゼロとはひどい話ですね。

 

ですが実際の話、屋根や外壁は築20年くらいで張替が必要ですし、配管や断熱材なども劣化してきます。

適切なメンテナンスができなかった場合は、構造も腐食が始まっているかもしれません。

 

住宅を買う方のほとんどが、たとえ中古住宅といえども住宅ローンを利用します。

 

何十年も支払いを続けるわけですから、すこしでも

 

① 安心で(長く住める)

② 安全で(地震や災害に強く)

③ 快適で(冬暖かく)

④ 経済的な(メンテナンスにお金がかからない)

 

家がほしいと思うのは当然です。

 

では、古い家を必ず更地で売らなければならないか?というと必ずしもそうではありません。

 

リノベーション流行りの昨今ですから、高く売れるかどうかは別として、解体費用を負担せずに

 

築37年までなら建物付で売れる場合がけっこうあります。

 

築37年というのは、今が2019年4月ですから1982年以降に建てられた家という事です。

 

「新耐震」と「旧耐震」

 

正確に言うと1981年の6月1日以降に建築確認を受けた住宅の場合は「新耐震物件」と呼ばれ、「地震に対する一定以上の安全性」が確保されているという事になっているからです。

(出来上がって住み始めたのが、という意味ではないので要注意です)

 

逆にそれ以前に建った住宅は「旧耐震物件」と呼ばれ、地震に対する強度が足りない危険な住宅と思われてしまいます。

 

もちろん、

 

家の傾きがひどい(6㎜/1000㎜以上)

基礎に損傷がある

構造の腐食がひどくて工事にお金がかかりすぎる

 

などの場合は、買取を断られてしまいますし、たとえ買ってもらえてもその分を値切られてしまうため、解体して更地にした方が高く売れる場合もあります。

 

ただ、この場合は不動産会社を通しても個人に売るのは難しく、ある程度の技術を持った建築会社に買ってもらうことになります。

不動産仲介会社も個人のお客様も建築について詳しい方は少ないですから、その住宅をリノベーションできるかどうかの判断ができないからです。

 

実際、私たちはほとんどの物件を、「中古住宅」ではなく「古家付き土地」として売りにでているものから買っていますが、

「建物付で買いたい」

というと、ほぼ7割の不動産屋さんが

「建物は使えない」

と言って1度はお断りになるくらいです。

 

 

ところで、当然のことですが、

「築38年以上経った家は、更地にしないと売れないのか?」

 

という疑問がわいてきます。

 

結論を申し上げると、家に値段がつくかどうかは別として

 

築50年の家でも更地にしないで売れます。

 

こんなことを自身満々に言うと、「本当か?」と疑い深い目で見られることが多いのですが、

本当です。

 

もちろん築50年の家のすべてを売れるわけではありませんが、結構な割合で売れています。

 

実際のところ

 

冒頭でお話ししたお宅は築48年でした。

 

検査の結果、法律違反もなく、基礎も補強が可能でしたし、リノベーションの場合、屋根はどうせ葺き替えるので、そのまま私たちの会社で買い取りさせていただきました。

 

売ってくださった奥様(法律では売主と言います)は解体費用をかける必要がなく、家をリノベーションするお客様(買主と言います)は、傷みのない構造部分を再利用できるため建築費が安く抑えられます。

 

解体費を出費することもなく、次の住まいである賃貸マンションを探したり、不要なお荷物の整理などもお手伝いさせていただきましたので、契約から1か月以内にお引越しすることが出来ました。

旦那様が苦労して建てられた、ご家族の思い出の詰まった住宅を全て壊してしまうわけではなく、これからの社会を支える若いご家族に引き継いでもらえることを、売主様もとても喜んで下さいました。

(職人さんたちに、コーヒーの差し入れまでいただき、ありがとうございました)

 

幸い今は政府が景気対策のために減税や助成金などの政策をとっており、宅地や住宅が高く売れやすい時期でもあります。

 

不安をおさえ、不便を我慢して暮らすより、思い切って新しい暮らしを始めるのも、災害が多くなってきた現代を生きるための一つの選択肢かもしれません。

 

というわけで、次回はその実例から、

 

「本当に築40年以上の家でも売れるのか?」

 

についてお話ししたいと思います。

さて、当社では、お客様のお好みに合わせて

選べるリノベーション住宅『R300住宅』を

中心にお家を持ちたいという方の

さまざまなご希望にお応えしています。

 

ご興味がありましたら、

是非ホームページもご覧ください

https://kenchikusha.net/

 

 

ページのトップへ戻る