建築舎のコラム
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リノベーションと耐震補強~安全で快適な住まいへ~
公開日:2024.03.13
◇ リノベーションと耐震補強~安全で快適な住まいへ~ ◇
人と同じように家も年をとるものです。新築時に十分な耐震性を備えた建物でも、年月を経て構造や建材が劣化してしまうこともあります。
住まいの安全・快適を考えるときは、「どのように建てたか」ではなく、「どのように住み、どのように手入れをしてきたか」が重要です。
人が老いる時にこまめな健康診断や治療をするように、大切な家も点検やメンテナンスを行い、家族が安心して暮らせるようにしていきましょう。
目次
1. 耐震補強でこそ!既存住宅も安全で快適な暮らしが可能に
「地震大国」である日本ですが、国土交通省の報告によると、現行の新耐震基準を満たしている住宅は、2018年時点で87%。高い数値のように思われるかもしれませんが、これは新築時の数値なのです。このうち、何軒の住宅が経年劣化に伴う修理・補強を行っているのでしょうか。
すっきりとした広いリビング、採光を考えた大きな窓、おしゃれなインテリア。大切な住まいの見た目に思考を凝らし、気持ちよく快適に暮らすことは、施主として自然なことです。
しかし、専門家が提唱する「快適な暮らし」とは、家族の安全が守られていることが大前提となります。地震が来たら倒壊するかもしれないと不安になる家では、家族が安心して暮らすことはできません。
定期的な耐震診断と必要な耐震補強を行うことで、新耐震基準の施行以前に建てられた住宅はもちろん、築浅の住宅も、今後いつどこで起こるかわからない地震に備えた安心・安全な暮らしを可能にできます。
既存住宅でも耐震補強は可能なのかと思われるかもしれません。近年では、リノベーションで耐震補強をするご家庭が増えています。それでは、具体的な耐震リノベーションの例をご紹介していきましょう。
2. 耐震リノベーションで内側から地震に強い家に!
リノベーションとは、古くなった設備を新しいものに交換するなど表層的なリフォームとは異なり、間取りや内装・配管といった内部構造を一から刷新することを言います。耐震補強が必要とされる構造部分をリノベーションすることで、内側から住まい全体を地震に強い家にしていきましょう。
▪️耐力壁を増やそう
壁の面積が小さくなると、筋交いが施工できなかったり、耐力壁が不足してしまいます。大きすぎる窓を減らす、または窓を小さくするなど、その分、揺れに耐えられるだけの必要な耐力壁を増やしましょう。
▪️屋根を軽量化しよう
昔ながらの日本瓦を使った家屋など、屋根が重いと重心の位置が高くなり、揺れた際の建物構造への負担は大きくなります。耐震用の軽量瓦に変えるなど、屋根部分の軽量化をしましょう。
▪️壁をバランスよく配置しよう
上下階部分の壁の位置がアンバランスだと、建物を支えるのに必要な柱や梁の位置がずれてしまっている可能性があります。新築時の設計図を見直すなど、壁の配置を確認し、安定した構造にしましょう。
▪️柱・梁・筋交いを補強しよう
地震や洪水災害、経年劣化によって傷みがでやすい部分です。耐震金物などによって構造の接合部をしっかり緊結補強しましょう。
▪️基礎を丈夫にしよう
基礎のひび割れに樹脂を注入して固めたり、無筋の基礎には新たに鉄筋入りの基礎を重ねるなど強化しましょう。また、コンクリートの耐用年数は約30年といわれています。耐用年数を超過した際のひび割れは寿命と考え、補強工事を行いましょう。
3. 不要なコストを抑えるためにも、リノベーションという選択を
耐震補強工事として、部分的に改修すると、コストは抑えられます。例えば筋交いを設置したり、耐震金具や耐震壁を設置するという具合です。しかし、それだけでは根本的な原因の解決にならない場合もあります。
主要な柱がシロアリの被害に遭っていたり、基礎部分に問題があったりすると、いくら表面的な耐震工事を重ねても、いざという時に持ちこたえられない・・・ということになりかねません。
また、年数を重ねるうちに色々な箇所で改修工事が必要になり、かえってコストがかかってしまうことも。
そんな事態を回避するためにも、耐震補強を検討する際には、フルリノベーションという選択肢も視野に入れることをおすすめします。
地震に備えた安全性だけでなく、断熱性・気密性もリノベーションによって一新することで光熱費も抑えられ、一石二鳥。長い目で考えてコストを抑えられ、安心で快適な住まいが手に入るなら、この上ないですよね。
4. まとめ
本記事では、リノベーションと耐震補強について、具体的なリノベーション内容や耐震補強の重要性についてご紹介しました。
日本に住んでいる方は特に、耐震については意識したいところですよね。
建築舎では、基礎からしっかり補強し、耐震・気密・断熱にこだわるリノベーションを手がけてきました。家族が安心・安全に暮らせるお家作りについて、ぜひお気軽にご相談ください。