建築舎のコラム
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知っておきたい 住宅の気密性について
公開日:2024.06.12
◇ 知っておきたい 住宅の気密性について ◇
新たに住宅取得を考えている人なら「高気密住宅」という言葉を聞いたことがあると思います。しかし、具体的に高気密住宅の何が良いのか、どうすれば高気密住宅が作れるのか、わからないことも多いですよね。
このコラムでは、住宅を作るうえで重要な「気密性」について詳しく説明していきます。
目次
1. 気密とは? 気密測定と、気密性を表すC値について
■気密とは?
住宅における「気密性」とは、住宅の隙間をできるだけ減らして、屋内と屋外の空気の流れを分離する性能のことです。隙間が少ないほど住宅の気密性が高まり、いわゆる「高気密住宅」になります。
■気密測定
住宅の気密性がどれくらいかを測る方法として、気密測定があります。気密測定は、専門の機械を使用して行います。換気口やドア・窓などを目張りして、送風機で室内の空気を外に出し、その時に生じる圧力差から漏れの程度を計測します。
家の隙間が小さいと、いくら室外に送風しても外から空気が入ってこないため、圧力差は大きくなります。反対に、隙間面積が大きいと、隙間から空気が入ってくるため圧力差は小さくなります。この方法を利用して、隙間相当面積を求めます。
■C値について
気密測定で求めた隙間相当面積の数値を、住宅の延べ床面積で割った数値が「C値」です。
C値が小さければ小さいほど、気密性が高いということになります。
実際の大きさだと、30坪(99.17㎡)の家に対してC値1.0だと、99.17㎠(名刺2枚分くらい)の隙間になり、C値0.5だと、その半分(名刺1枚分くらい)の隙間があるということになります。
現在、C値がどれくらいだと高気密住宅なのかという基準は決まっていませんが、2009年までの省エネ法では、C値は北海道や東北では2.0㎠/㎡、それ以外の地域は5,0㎠/㎡が基準値と定められており、それ以下であれば高気密とされていました。(2009年に法改正があり、基準値は撤廃)
現在では1.0以下で高気密住宅、0.5以下だと花粉や黄砂も防げる十分な高気密住宅と言えるでしょう。
2. 住宅に気密が大切な理由 ~高気密住宅のメリット~
では、なぜ住宅には気密性が大切なのか、高気密住宅のメリットを見ていきましょう。
高気密住宅のメリット
・光熱費が安くなる
建物外部からの風や湿気の侵入を抑えることで、室内の温度や湿度を安定させることができるため、冷暖房費の節約に繋がります。光熱費の節約だけでなく、エアコンや暖房の使用を控えることで、地球環境への負荷も軽減することが可能になります。
・四季を通じて快適な室内環境を維持できる
外部からの気象条件の影響を受けにくくなるため、四季を通じて快適な室内環境を維持することができます。またほこりや花粉などの異物の侵入を防ぐことができるため、アレルギー症状や健康被害のリスクを軽減することができます。
・部屋ごとの温度差が少なくなる
気密性が高いほど、室内の熱が外部に漏れにくくなり、どの部屋でも均一な温度を保つことができます。これによりお風呂上がりのヒートショックのリスクが下がるほか、家の中のどこにいても快適な環境で過ごすことができます。
・遮音性に優れている
高気密住宅は隙間が少ないため、外部の騒音を遮断することができます。外部からの騒音を最小限に抑えることで、睡眠時に外の音が気にならないなど、快適に過ごすことができます。
・結露が発生しにくくなる
結露は室内の温度差と、湿度によって発生しやすくなります。気密性が高い住宅だと室内の温度差が少なくなり、湿度も安定させることができるため、結露が発生しにくくなります。
3. 高気密住宅の作り方
高気密住宅を建てるためのポイントを見ていきましょう。
・質の高い断熱材を適切に使用する
断熱材にも多くの種類があります。できるだけ断熱性能の良いものを使用しましょう。
・窓や建具に気密性の高いものを使用する
窓枠であればアルミサッシより樹脂サッシのほうが気密性が高いです。また玄関ドアも、引き違いドアよりも片開きドアのほうが気密性が高くなります。
・隙間になりやすい部分を塞ぐ
特に気密にこだわる住宅会社では、設備配管まわりやコンセントまわりなど、隙間ができやすい部分を気密テープや発泡ウレタン等で埋め、気密処理を施します。このような細部の処理が、前述したc値を下げるためのポイントになります。
上記のようにいくら性能の良い材料を使用しても、隙間があれば高気密住宅は作れません。取り付けを丁寧に行い、隙間を極力なくすことが重要です。そのため、信頼できる建築会社にお願いする、建築中にこまめに現場を見に行きチェックするなども大切になってきます。
また、気密性を高めるだけでは換気不足を招くため、適切な換気システムを導入し、気密性と換気のバランスを考慮することが重要です。そうすることで高気密住宅を実現し、快適で省エネな住環境が手に入ります。
4. まとめ
気密を表すc値については、現在は基準値が撤廃されたこともあり、測定していない会社も多いのが実情です。
戸建住宅のリノベーションを数多く手がけてきた私たち株式会社建築舎では、手作業で中古住宅を解体するため、年数を経過した住宅の壁内の状態をたくさん見てきました。その過程の中で、壁内結露を防ぐための気密や換気の大切さを痛感しており、今もなお、気密にこだわり、完成後の気密測定を必ず行っています。※建築舎では、リノベーションでC値0.5以下、新築でC値0.2以下をお約束し、健康で安全、快適で環境にも優しい、そんな住まいを提供しております。
札幌で気密性能を大切にする工務店をお探しなら、ぜひ一度、ご相談ください。