建築舎のコラム

通常灯油ボイラーの耐用年数は、おおよそ10年程度と言われています。この耐用年数は、あくまで一般的な目安であり、使用頻度やメンテナンスの状態によって多少異なることもあります。

灯油ボイラーは次のような条件で寿命が変わってきます。

■使用頻度

特に寒冷地で冬期間に長時間使用する場合、ボイラーの負担が大きくなります。使用頻度が高いほど、部品が摩耗しやすくなり、寿命を縮める可能性があります。

■メンテナンスの状況

定期的なメンテナンスや点検をすることで、ボイラーの寿命を延ばすことができます。例えば、フィルターの掃除や灯油の品質チェック、内部部品の洗浄など、適切な手入れが必要です。

■設置環境

屋外に設置されている場合、寒冷や風雪などの厳しい環境が影響し、ボイラーに負担をかけることがあります。室内設置のボイラーと比べると、劣化が早まる可能性もあります。

灯油ボイラーを10年を超えて使用し続けると、劣化が進行し、故障のリスクが高まります。ボイラー内部の部品が摩耗したり腐食したりして、正常に作動しなくなることがあります。故障した場合、修理や部品交換が必要になり、予想外の高額な修理費用がかかることもあります。

特に冬場の厳しい寒さの中で故障すると、暖房やお湯が使えなくなり、生活に大きな影響が出ます。このため、寿命が近づいた段階で早めに交換を検討することが重要です。

灯油ボイラーを長期間使用していると、交換のタイミングを見逃してしまうこともあります。故障してからでは手遅れになりかねませんので、早めに交換を検討するために、交換のサインをチェックしておきましょう。

■暖房効果が薄くなった

ボイラーが老朽化すると、灯油暖房の場合は暖房効率が悪くなり、部屋が十分に暖まらないことがあります。部屋全体に暖房が届きにくくなったり、暖房の温度が安定しなくなった場合は、ボイラーの交換を考えるサインかもしれません。

■異音や異臭がする

ボイラーから異音や異臭が発生する場合、内部に問題が生じていることが考えられます。例えば、燃焼室の不具合や正しく燃焼していない場合、異音や焦げ臭い匂いが発生することがあります。これらのサインを放置しておくと、故障や火災のリスクが高まります。

■灯油の消費量が増えた

ボイラーが効率よく動作していない場合、燃料である灯油の消費量が増えることがあります。これは、内部で無駄なエネルギーを使っている証拠です。消費量の増加に気付いたら、早めに点検を受け、交換を検討しましょう。

■修理が頻繁に必要になった

頻繁に修理が必要になっている場合、その都度修理費用がかかり、長期的には交換した方が経済的な場合があります。修理費用が高額になってきた場合も、交換のサインと考えるべきでしょう。

灯油ボイラーの交換にはそれなりの費用がかかります。交換費用の目安は、ボイラーの種類や設置環境、業者によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。

■交換費用の目安

・本体価格…灯油ボイラーの本体価格は、タイプや容量によって異なりますが、10万円～30万円程度が一般的です。

・設置費用…設置には配管工事や設置作業が必要となり、5万円～10万円程度が相場です。設置場所が難しい場合や追加工事が必要な場合は、さらに費用がかかることもあります。

■ 交換に使える補助金

経済産業省や各地方自治体では、エネルギー効率の向上を目的とした補助金制度があります。これにより、ボイラー交換の費用の一部を補助してもらえる場合があります。

・給湯省エネ2025事業

・子育てエコホーム支援事業

・再エネ省エネ機器導入補助金制度（札幌市の場合）

補助金制度を活用するには、交換する機種や条件などもあるため、担当者にご相談ください。補助金を上手に活用することで、交換費用を大きく抑えることができるかもしれませんよ。

今回のコラムでは、灯油ボイラーについて取り上げました。真冬に故障して使えなくなることがないように、少しでも気になる点があれば点検することをオススメします。また、新たにマイホームを取得される場合は、10年先の設備機器の点検や交換も見据えて資金計画を立てていくと良いでしょう。少しでも節約するために、リノベーションという選択肢もぜひご検討ください。