ブログ

「無料太陽光発電とリノベーション」 デメリットとその解消法 地震後の構造点検 ㉕


Blog

「無料太陽光発電とリノベーション」 デメリットとその解消法 地震後の構造点検 ㉕

2019.05.09 |

皆さま、お晩でした。

建築舎のリノベ担当です。

前回は、「初期費用無料の太陽光発電」が、どうして「タダ」で設置できるか、その仕組みについてお話ししました。

その中で、「タダ」である以上設置には様々な条件が付いていて、場合によっては設置するとかえって損をする場合がありますよ、というお話もさせていただきました。

そこで今回は、前回の続き、

「無料太陽光発電とリノベーション」 デメリットとその解消法

◆    リノベーション住宅に無料太陽光発電設置が向かない場合
◆    無料太陽光発電のデメリットを解消するリノベーション法とは
◆    無料太陽光発電を設置したほうが良い場合

について考えてみたいと思います。

前回、無料太陽光発電のデメリットとしてお伝えした内容は

① 雪の多い地域では、設置をお断りされてしまいます。
(必要な発電量が得られず、10年間で元がとれなくなってしまうからです)
② 屋根の広さが、一定以上でなければなりません。
(屋根が狭いと必要な発電量を生み出すだけのパネルを設置できないからです)
③ 屋根の形に制限があります。
(屋根の形によっては雨漏りやパネル脱落の危険があるためです)
④ 長持ちする屋根材を使う必要があります。
(10年に一度などのメンテナンスを必要とする屋根だと、その都度パネルを脱着しなければならず、余計なコストがかかってしまうからです)

でした。

リノベーション住宅に無料太陽光発電設置が向かない場合

①についてはどうしようもないですね。
リノベーションも新築もありません。
いくら「無料太陽光発電」がお得だとしても、そのために住みたくもない土地に引っ越すなんてナンセンスの極みです。

②は、昔の住宅は雪を落とす必要があったため屋根の勾配が大きい場合が多く、比較的屋根の面積が広かったので、そこだけ見ると有利な場合が多いのですが、この場合、屋根の斜面がどちらを向いているかが問題です。

北向きだったりすると発電効率が悪いのでだめです。

また、勾配が急すぎるとソーラーパネルの脱落事故の危険があるため、こちらもお断りされてしまいます。

③の屋根の形状ですが、スノーダクト(無落雪タイプ)の屋根は、雨漏りの危険が大きいため、こちらもNGです。

この、②と③の条件をクリアしようとすると、屋根の形状を、作り変えなければならず、工事費が一気に跳ね上がります。

屋根の向きと発電効率

屋根の形を変えるとお金がかかる

せっかくソーラーパネルの設置費用が無料でも、もともとのリノベーション工事が高くついて売電収入を上回ってしまっては本末転倒です。

④の、耐久性の高い屋根材は、一般の屋根材に比べると40~50万円ほど高いのですが、「塗膜保証15年、(錆による)穴あき保証25年」という、建築に携わっているものなら「ウソでしょ⁉」と言いたいくらいすごいものですので、8年~10年に一度はやらなければならない屋根のメンテナンスが1~2回減ることを考えると、実はある意味お得ではあります。

これは、たとえ初期費用が高くても、外壁にガルバリウムサイディングを使ったほうがお得であるということと一緒です。

問題は、その50万円の増額によって借入限度額を超えてしまわないか?という点だけだと思います。

こう考えてくると

無料太陽光発電のデメリットを解消するリノベーション法とは

実は

「初期費用(イニシャルコスト)が売電収入や電気代の節約をこえる場合は設置しない」

という、ごくごく当たり前の判断をすることだけなのです。

「そんな当たり前の話を何もったいぶって話しとるんじゃ‼」

とお叱りを受けそうですが、(ああっ‼石を投げないで~!あせる

この当たり前の判断をするためには、

太陽光発電の設置費用とリノベーション工事のかかりまし費用(イニシャルコスト)の比較

節約できる電気料金(ランニングコスト)と初期費用に掛かってくる金利や借り入れにかかる経費(ファイナンシャルコスト)の比較

高耐久屋根材の採用による差額(イニシャルコスト)とメンテナンス費用負担の軽減額(メンテナンスコスト)との比較

など、一生涯にかかる住宅関連費を総合的に、冷静に検討する必要があり、意外と難しいことではないかと思います。
(特に電気代の節約分、売電収入、初期投資への金利負担など、ぱっと見ではわからない費用を計算するのはホネが折れる作業です)

このような考え方を、「ライスサイクルコスト」といいます

このライフサイクルコストをもとに考えると、リノベーションを行うときに

無料太陽光発電を設置したほうが良い場合とは

ズバリ

そもそも既存住宅の屋根形状が太陽光発電に適している場合か、
もともとの工事プランに屋根改造が含まれている場合です。

既存住宅の屋根の形が悪くて落雪トラブルが予想されたり、劣化や腐食が激しく、屋根の構造体を大きく改修しなければならないなど、最初から屋根の改造が計画に入っている場合は、どうせ形を変えるのですから太陽光発電に向いた形に作り変えてしまえば良いのです。

④の「長持ちするけど高価な屋根材」の採用についても先にお話しした通り、20年前後もメンテナンスが不要になることを考えるとメンテナンスコストの差額だけでおつりが来ます。
(借入限度額に影響がない場合に限っては、ですが)

こういう場合はむしろ積極的に設置を検討するべきですし、むしろ「設置しないと損」といってもよいかもしれません。

ただしだからと言って、そういった場合でも必ずしも太陽光発電の設置をお勧めしているわけではありません。

太陽光発電に限らず、住宅の光熱費を節約するためにエネルギー源や設備を選ぶ目的は、ご家族が安心・安全・快適・健康的に暮らせること、節約したお金を役立ててより有意義な人生を送ることにあるはずです。

電気をエネルギー源に選んだ場合

暖房はエアコンかヒートポンプ電気温水器によるパネルヒーター
給湯はエコキュート
調理はIHヒーターなどを使ったオール電化が有利ですが、

① 停電時、夜のライフラインの確保が難しい(特に冬季は日中も)
② 電磁波過敏症のご家族がいる場合は不向き
③ エコキュートは貯湯式なので、
a)一日に使える湯量に限度がある
b)必要なお湯の量を確保するためにスペースをとる
C)原発の停止に伴い、夜間電力が値上がりしている

などのデメリットもありますので、

無料太陽光発電の設置は目的意識をしっかりもって

① 本当に節約になるか、ライフサイクルコストを計算する

② 本当にご家族の生活が、安心・安全・快適・経済手的になるか検討する

③ 単一のエネルギーに頼るのではなく、最も効率的な組み合わせを考える
(エネルギーのベストミックスなどと呼ばれています)

ことが大切だと思います。

というわけで私たち建築舎が考えるベストミックスとしては、

暖房給湯については、ライフサイクルコストがお得で災害時にも比較的安心なプロパンガスのエコジョーズで

冬と夜はプロパンを使う

太陽光発電はエアコンによる冷房や補助暖房、冷蔵庫やテレビなどの無料電源として

夏と昼は無料太陽光発電を使う

そして、11年目以降の売電収入は、ランニングコスト削減のために、と

それぞれ上手に使い分けていただこうということでして、

今年限り、
10棟限りではありますが

先にあげたような条件に合うご家族には、無料太陽光発電の採用をご提案させていただく予定です。
(北海道全体で1,000棟限定ということなので、ちゃんと10棟割り当ててもらえるかどうかはわかりませんショボーン汗

皆様のお住いの近くでもこういった取り組みをされている工務店さんやリフォーム屋さんはあると思いますので、新築やリフォームをお考えのご家族は、一度設置をご検討なさってみてはいかがでしょうか?

さて、何回か前、「築50年の家でも解体しないで売れる」というお話を致しました。

その中で、

「法律違反の建物、構造上耐震補強のできないものは除きます」

と申し上げましたところ、

「じゃあその法律違反って何?」

「どんな構造が耐震補強できないの?」

というご質問をいただきました。

ごもっともです。

そこで次回は

「更地にしないと売れない場合」住めなくなった古い家をどうするか?

についてお話ししたいと思います

さて、建築舎では住宅リノベーション事業を通じて
わずかでも皆様の豊かな住生活のお役に立ちたいと
考えています。

建築舎の取り組みについてご興味がおありでしたら、
是非ホームページものぞいてみてください

右差し  https://kenchikusha.net/

ページのトップへ戻る