
建築舎のコラム
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リノベーションで叶える二世帯住宅~間取り・動線の工夫~
公開日:2025.06.12
◇ リノベーションで叶える二世帯住宅~間取り・動線の工夫~ ◇

少子高齢化や多様なライフスタイルの広がりとともに、親世帯と子世帯が共に暮らす「二世帯住宅」への関心が高まっています。二世帯住宅で快適な住環境を作るには、住宅の性能や間取り、動線の工夫が重要です。
今回のコラムでは、リノベーションで実現する二世帯住宅に焦点を当て、住まいづくりに欠かせない間取り設計と動線計画の基本的な考え方や、失敗しないためのポイントをご紹介します。
目次
1. 二世帯住宅リノベーションの基本パターンと特徴
二世帯住宅と一口に言っても、住まい方にはさまざまなスタイルがあります。まずは、リノベーションを検討する上で押さえておきたい、代表的な3つの居住パターンを紹介します。
■完全分離型
玄関、キッチン、浴室などのすべてを世帯ごとに独立させたスタイルです。親世帯と子世帯がそれぞれの生活空間を確保し、プライバシーを大切にしながらも、近くに住む安心感を得られるのが魅力です。特に生活リズムや価値観に違いがある場合は、ストレスを軽減しやすい形式です。
一方で、設備が2世帯分必要になるため、リノベーションコストは高めになる傾向があります。
■完全同居型
リビングやキッチン・浴室・玄関などの共用スペースを中心に、親世帯と子世帯が生活を共有するスタイルです。子育てや介護など、家族でのサポートがしやすい反面、世帯ごとのプライバシー確保が課題となります。
リノベーションでは、音の問題や収納の工夫、動線の分離などでストレスを軽減するアイデアが求められます。
■部分共有型
完全分離型と完全同居型の中間に位置するスタイルで、プライバシーとコミュニケーションのバランスを取ることができます。例えば、リビングは共有しつつ、寝室や水回りは各世帯で独立させるなどの柔軟な構成が可能です。
費用と快適性のバランスが取りやすく、家族間の交流も生まれやすい設計です。札幌のように冬季の生活コストが高くなる地域では、光熱費の節約にもつながります。
2. 二世帯住宅は“間取り設計”が暮らしやすさを大きく左右します!
二世帯住宅のリノベーションにおいて、間取り設計は暮らしやすさを大きく左右します。以下のポイントを押さえることで、快適な住環境を実現できます。
■世帯間の動線を明確に分ける
親世帯と子世帯の生活リズムが異なるため、各世帯の動線を明確に分けることが重要です。例えば、玄関や階段の位置を工夫し、お互いの生活空間へのアクセスを最小限に抑えることで、プライバシーを確保できます。
■共用スペースと個室のバランス
共有スペースは、家族のつながりを生み出す大切な場所。一方で、個室をしっかり設けることで、プライベートな時間も尊重されます。共用リビングを設ける場合は、程よい距離感を保てる広さや視線の抜けを意識した設計が大切です。
■将来のライフスタイルの変化を考慮する
家族構成やライフスタイルは時間とともに変化します。将来的に子ども部屋が必要になる場合や、親世帯の介護が必要になる場合など、将来の変化を見越した間取り設計を行うことで、長期的に快適に暮らすことができます。
3. 動線計画で失敗しないためのポイントをご紹介
動線計画は、家事の効率化や家族間のコミュニケーションに大きく影響します。二世帯住宅では、複数の生活スタイルが重なるため、特に動線の工夫が必要です。
以下のポイントを押さえることで、快適な動線を実現できます。
■回遊動線を取り入れる
回遊動線とは、家の中をぐるっと一周できる動線のことです。例えば、玄関からリビング、キッチン、洗面所、トイレなどを一周できる動線を設けることで、家事の効率化や家族間のコミュニケーションがスムーズになります。
■水回りの配置を工夫する
水回り(キッチン、洗面所、浴室、トイレ)の配置は、家事動線に大きく影響します。例えば、キッチンと洗面所を近接させることで、料理と洗濯の動線を効率化できます。また、浴室とトイレを近接させることで、夜間のトイレの使用をスムーズにすることができます。
■世帯間の動線を分ける
親世帯と子世帯の動線を分けることで、プライバシーを確保しつつ、必要な時にはスムーズに行き来できるようにすることが大切です。例えば、親世帯と子世帯の間に共用の廊下を設けることで、互いの生活空間へのアクセスを最小限に抑えることができます。また、洗濯スペースやトイレを共有する場合でも、それぞれの生活時間帯を考慮した配置にすることで、使用時のストレスを軽減できます。
4. まとめ
二世帯住宅において、特に完全同居型や部分共有型の場合、双方の要望のすり合わせやあゆみ寄りが必要です。また、もともと一世帯だった住宅をリノベーションで二世帯住宅にする場合、間取りの変更に制限が出てくる場合もあるため、希望の予算で “どこまでできるか”を、複数の建築会社に相談すると良いでしょう。
札幌の工務店『株式会社 建築舎』では、リノベーション・リフォームを中心として、お客様それぞれのご要望に沿ったマイホームの実現をお手伝いします。リノベーションでの二世帯住宅のご相談も承りますので、ご相談ください。
