今は、真面目に働いても家が買えない時代なのか?
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今は、真面目に働いても家が買えない時代なのか?
2022.04.22 | 住生活お役立ち講座
「住宅スタグフレーション」への対策は?
皆さま、お晩でした。
建築舎のリノベ担当です。ご無沙汰してすみません💦
最近私たちの会社では、リノベーションではなく、リフォームでのお問い合わせが増えています。
(この場合の「リノベーション」は、住宅性能を新築基準に適合させる工事、
「リフォーム」は、見えるところだけをキレイにする、性能向上工事を伴わないものを意味しています)
「ずっと住宅購入を検討してあちこち見積をとっていたが、土地と建築費が高すぎて新築は無理だし、
中古住宅もどんどん値上がりしていて、リノベーション工事までは予算におさまらない。
中古住宅 + 一部リフォームで我慢するしかないのでは?」
とお考えだからのようです。
リノベーションについてのお問い合わせであったとしても、
「ご質問ですが、単刀直入にお金の話です。
住宅にかけられる総予算が3,300万円程なのですが、
リノベーションは可能でしょうか?
中古住宅自体が高額なので難しいでしょうか?
みなさん、どのようなリノベーションでどのくらいの費用をかけていらっしゃるか、
相場等ありましたら教えていただけると嬉しいです。」
などというご質問が増えています。
懇意にしている不動産屋さんのお話によると、1981年以降に建てられた「新耐震物件」であれば、
昔なら敬遠されていた築30年以上の物件でも飛ぶように売れているといいます。
一方で、検査会社の話によると、新築の「確認申請」が大幅に減っているということです。
長引く土地の高騰と昨年春のウッドショック、夏くらいからは原油価格も上昇し始め、
第3次オイルショックなどと呼ばれています。
これらの資材高騰は企業努力で吸収できる範囲を超えており、
市内でも有名なローコスト住宅メーカーさんが、この1年で5回も値上げを行っています。
国民の収入はさっぱり上がらないのに、輸入材料の高騰による価格の上昇が続き、
ついに多くのお客様方から、「真面目にコツコツ働いていても家が買えない時代になってしまった」という
ご感想をいただくようになってしまいました。
これはまさしく、需要が高まっているわけではないのに、原材料費が上がることで物価が上がっていく
「コストプッシュ型のインフレ」ですし、経済が成長せず、収入が伸びない中での価格高騰、
「スタグフレーション」と呼んでも良いかもしれません。
そこで今回は、
「住宅スタグフレーション」への対策は?
- この1年に、いったい何が起こったか?
- コストダウンの方法はもうないのか?
- モノに頼らず、腕で勝負
についてお話ししたいと思います。
この1年に、いったい何が起こったか?
思い起こせば、去年の今頃のワタクシは、
「札幌市内に3,000万円以下で注文住宅」
といったようなブログを書いていたのでした・・・💦
https://kenchikusha.net/kenchiku_blog/blog-post-4171/
先にご紹介したお客様のご予算、「3,300万円」といえば、場所によっては新築に手が届くご予算だったはずです。
この1年の間に一体何が起こってしまったというのでしょうか?
① 海外との金利差が広がったため、円安が進んだ
このグラフを御覧になってお判りのように、アメリカが政策金利を上げているのに対して、
日本はいまだにマイナス金利政策を続けています。
ヨーロッパでも、軒並み金利は上昇しています。
金利が上がらないと、日本円を持っているよりドルを持っていたほうが儲かるので、為替市場では円が売られてドルが買われます。
つまり円安になるのです。
② 円が安くなると土地が外国資本に買われてしまうため、地価が値上がりする。
例えば、1ドルが100円の時、1,000万円の土地を買うためには10万ドルが必要ですが、1ドルが125円になると、8万ドルで買うことができます。
何と、2万ドル(250万円)も安く買えるのです!
そこで、海外の投資家は、自国の土地を買うより日本の土地を買ったほうが儲かるので、どんどん日本の土地に投資します。
しかも日本には、外国人が不動産を買うことに対する規制がありません。
私達日本人が家を買えないでいるのに、不動産が値下がりどころか値上がりしているのは、外国資本が日本の不動産を買いあさっているからです。
③ 一度落ち着いたウッドショックが、原油の値上がりによって再燃した。
このグラフは、アメリカの木材先物市場と国内の木材価格の動きを示しています。
アメリカの木材価格(赤い線)は昨年夏から下落していたのですが、国内の木材価格(紫の線)は下がっていません。
これは、原油の高騰による輸送費(船賃)、乾燥に必要な燃料費、
材料の加工にかかる電力代金(現在日本の電力は火力発電に頼っているため)が上昇しているからです。
それどころか、原油価格の高騰によってふたたび上昇を始めたアメリカの木材先物価格が日本に反映される秋口から(アメリカの木材価格は、約半年後に日本に反映される)(緑色の線)は、さらに価格が上がる可能性があります。
④ 世界が「脱炭素」に向かって化石燃料を排除しようとしたため、産油国が減産を行い、
先進国の多くが地球温暖化を防ぐために化石燃料を使わない、と宣言したため、産油国は、
「いずれ原油を買ってもらえなくなるのであれば、今のうちに儲けておかなければ・・・」
と考えて産油量を減らしました。
アメリカでも、
「シェールオイルの掘削に投資しても、いずれ売れなくなるのであれば元が取れない。
シェールオイルを掘るのはやめよう」と考えて、産出量が減りました。
おかげで原油価格はこの1年で2倍を超え、今年中には2.5倍以上になると言われています。
ほぼすべての商品を作ったり運んだりするためには石油や、石油から作られる電力が必要です。
原油高は、物価高騰に直結するのです。
⑤ 新築価格は、ウッドショック前より500万上がる?
このブログを書いている2022年4月時点で、新築ローコスト住宅の建築費は、ウッドショック以前との比較で280万円~300万円上昇しています。
このまま地価の上昇と原油高が進めば、年内には500万円ほどの上昇になってしまうでしょう。
ワタクシも、「札幌市内に3,500万円以下で注文住宅」なんていうブログを書かなければならなくなってしまうのでしょうか・・・💧
コストダウンの方法はもうないのか?
この1年は、値上がりと対策の、イタチごっこのような1年でした。
利益を削って価格を据え置けば木材が30万円値上がりし、経費を節約すれば今度は外壁材が値上がりし、
社長が給料を削って価格を抑えれば今度はまた木材が値上がりし、ついに断熱材や窓サッシ、
果ては接着剤やら釘やら、資材のすべてがどんどん値上がりしてゆくといった具合です。
そして今回のウクライナ戦争によるエネルギー価格の上昇で、ついにとどめをさされた感じです。
去年の秋に、安く譲っていただいた西野の古家付き土地を、当初2,880万円~のリノベーション住宅として提供する予定だったのですが、ついに3,000万を超えた価格でなければ、ご提供ができない状況になってしまいました。
しかし、ここであきらめてしまったら、建築舎の存在意義がありません。
今まで建築舎を支えてくださったお客様たちや、消費増税とコロナ禍で収入が伸びないにも関わらず、
必死で働き、子育てをしている皆様にも顔向けができません。
そこで、社長以下、技術陣が一念発起して、工事方法をドラスティック(抜本的)に見直すことになりました。
もちろん、住宅性能を落とさずに、です。
本来、数十年ものあいだ腐らずに乾燥と吸湿を繰り返してきた木材は、
多少のゆがみはあるものの、適度な含水率に保たれ、今後狂いが出る心配はほとんどありません。
それこそ昔は、たっぷり水を吸わせた丸太を最低でも3年間日陰に立てかけて、
乾燥と吸湿を十分に繰り返させてから。柱や梁を削りだしていたのです。
というわけで、実は古い木材というのは、機械で短時間に乾燥されたあたらしい木材より、住宅にはずっと適しているわけなのです。
問題は、長期間にわたる乾燥収縮によって生じたゆがみを、交換せずにどう修正するか?という点です。
この作業には非常に高い技術力が必要になり手間もかかるため、作業時間も長くなり、人件費がかさみます。
工場であらかじめ加工した木材を組み立てるだけの、新築のプレカット材を使った工法しか知らない職人さんにはおそらくできない工事でしょう。
今までもその技術はあったのですが、作業効率を考えて、腐っていない木材でも交換していた部分が少なからずありました。
しかしある意味、モノに頼って時間をかければ、誰にでもよいものは作れます。
もっと安く、もっと速く、もっと正確に、もっと良いものをどうすればできるか?
今回の試みは、技術を出し惜しみせず、また、作業効率を高めることにより、さらに木材の再利用率を高めようという挑戦です。
既存木材の再利用が増えれば、廃材処分費も、品質は上がっていないのに価格だけが上がっている新材使用量も減らすことができ、
コストアップを抑えることができるはずです。
これからも、手間を惜しまず、一棟でも多くの「長期優良リノベーション住宅」をご提供できるように頑張ります。
(実際に頑張るのは職人さんたちで、ワタクシではないのですが・・・💦)
モノに頼らず、腕で勝負
前の項目でお伝えした、西野の2,880万円で予定していたリノベーション物件を、今回は2,898万円からのスタートでご提供することになりました。
(ごめんなさい。あと18万円が、どうしても減らせなかった・・・💦)
それでも100万円以上のコストを抑えることができました。
標準仕様でよろしければそのままでお買い求めいただけますし、コストダウンした100万円を、設備や機器のグレードアップに充てても良いでしょう。
また、住宅性能を新築基準から落とさなかったおかげで、今なら国土交通省の「長期憂慮リフォーム補助金」を申請することも出来ます。
(予算がなくなり次第打ち切られますのでご検討はお早めに・・・)
このプランはHPでご紹介していますので、良かったら、どんなプラン内容か、覗いてやってくださいませ。
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さて、当社では、お客様のお好みに合わせて
選べる!オーダーリノベーション住宅を中心に
自分らしい家を持ちたいという方の
さまざまなご要望にお応えしています。
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